角換わり腰掛銀の昭和30年代からの常識を最強AIが根底から覆した?

将棋・囲碁
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※今回のネタは、将棋定跡に関する基礎知識がないと全く面白くありません。

 一ヶ月前に将棋景Youtuberそらさんのコンテンツを見ていた。
 平成に大議論になった戦型が本当に先手勝ちなのか、最強AIポンタマンで確認しようという企画だ。
 平成どころが昭和でも大議論になった角換わり腰掛け銀の戦後同型。「木村定跡」とか「升田定跡」とか、どっちで呼ぶのかわからないけれど、下の局面である。昭和30年代に大流行した形で、同時の新聞社の試験に「腰掛銀」が出題されたほどの大人気だったそうだ。

 ▲4五歩△同歩▲3五歩△4四銀。
 そらさんは肝心の▲3五歩△同歩を抜かしてしまった。単なる間違いだろう。でなければ、まさかの「最強AIポンタマン」の指し手に驚愕するはずがない。いや、見ている私も他の将棋ファンも、老若男女問わずAIの指し手に驚愕しただろう。

▲4五歩△同歩▲同桂
そ… そんな馬鹿な。

私の水匠(最強でない版)で持ち時間2時間で検証してみた

 昭和30年代私が生まれる前の初心者から名人まで、そして時が流れて令和7年の初心者から藤井聡太や鎌田美礼まで信じ込んていた角換わり腰掛け銀の4手一組の常識「▲4五歩△同歩▲3五歩△4四銀」が根底から覆される。70年間将棋関係者が信じてきた常識がいとも簡単に崩れ去ったのか。
 これは、地下鉄サリン事件どころではない大事件。大新聞が一面で報道してもおかしくない。

 しかし、どう考えてもこれが最善とは思えない。ポンタマンは▲4五歩△同歩▲同桂△4四銀▲7五歩△4五銀右▲同銀△同銀と指す。これが最善とは、伊藤かりんだって思うまい。

 これ、Ⅰ手10秒で指してるからAIがこう判断してるのではないのか。
 早速私のパソコンでやってみよう。もっとも、ポンタマンも水晶beta10も持ってない。水晶は水晶でもVer.5の無料版である。持ち時間を2時間、切れたら1手60秒でやってみた。

▲4五歩△同歩▲3五歩△4四銀

 なーんだ。持ち時間2時間だったら、70年間全将棋ファンが信じ込んでいた常識は覆されなかった。

 しかし、である。これ、実は水晶Ver,5だからこうなるのであって、神の領域に達したポンタマンにとっては、▲4五歩△同歩▲同桂が正解なのかもしれない。
 これはもう、ポンタマンを使って実験するしかない。

ポンタマンって1万円もするの?

 そもそもポンタマンって入手できるのか。そらさんが入手してるのだから、私だって入手できるだろう。たかだか将棋ソフト、しかもエンジンだけ。3000円もあれば買えるだろう。

9,800円?

  日本将棋連盟のボッタクリ商法が話題になっているが、ソフト業界もなかなかである。仕方がない。乗りかかった船、9800円払うことにする。

最香AIポンタマンは70年間信じられた定跡を本当に覆えしたのか?

 さあ、さっそくやってみよう。いや、その前に、まず実証しなければならないことがある。
 例の局面を持ち時間10秒でポンタマンに指させると、本当に▲4五歩△同歩▲同桂と指すのか。そう指さなければ、両者の環境がかなり異なるということになり、そもそも実験の前提が存在しない。持ち時間を1手10秒に変更し、エンジンをポンタマンに変更する。

▲4五歩△同歩▲同桂。確かにポンタマンは持ち時間10秒だとこう指す。そして、少しほっとした。

 どうやら、そらさんの動画は再現性がある現象のようだ。
 それでは、持ち時間を2時間-60秒に変更して、果たしてそれでもポンタマンは▲4五歩△同歩▲同桂と指すのか。

 結論はこれだ。

 ▲3五歩。桂馬は跳ねなかった。この後、後手も普通に△4四銀。
 やっぱり、70年間かけて人類さんが築き上げた英知は正しかったのだ。

 こんなこと常識で分かるだろうと言われそうだけど、私にはどうしてもAIさんが▲4五同桂と指すとは思えなかったのだ。しかし、それだけのために費やした時間と9800円は大きかった。

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