トランプ大統領の「反知性論」なるものが海を超えて日本にまで跋扈している。
しかしトランプは「反学問」「反知性論」なのだろうか。トランプ大統領がテクノロジー研究などを中止させた話を聞いたことがないし、ロースクールを弾圧したという話も聞かない。日本同様に公認会計士などの教育も熱心だ。

いや、実は後述のように、理系の頭脳流出が生じているのも事実だ。何せ「世界陰謀論者統合の象徴」トランプ。お世辞にも科学的ではない。しかしアメリカはイノベーションだけなら未だに世界のNO.1である。
というのか、今回の反知性騒動、本質が何か違う気がするのだ。何故トランプは反知性と呼ばれ、それが海を渡って日本にまで飛び火するのか。今回の騒動の本質が反知性ではなく反左翼であり、日本で言う「文系不要論」と同じだからではないのか。
「業界人」以外は誰も反対しなかった「国立大学文系科目廃止論」
国立大学文系科目廃止論が飛び出したのは、10年前だったか。文系廃止のインパクトもさることながら、相当にインパクトのある暴論に近い意見なのに、「当事者」以外の一般市民は実に冷淡だったのが印象に残ってる。
文系廃止論が炸裂してから少し経った頃に、大学の校友会(卒業生組織)で、爺さんが若者にお説教しているのを聞いていた。爺さん曰く「大学の授業なんか社会に出ても何の役にも立たない」。未だに「大学の授業は何の役にも立たない」論は根強いのだ。
「何も役立ってない」「自民党批判は要らない」の本質から目をそらす

国立大学文系科目廃止論の頃、「当事者達」のピント外れ発言が悲しかった凄かった。一番言っちゃだめじゃん。「自分は企業に役立つ学問をやっているのから関係ないと思っている人がいるけれど、文科省は国立科目の全ての科目を廃止すると言っているのだ…」 標的は我々だけではない、あなたも狙われてるのだと。
文系科目廃止論は、自公政権や維新・民民が資本の要請を受けて金儲けのために弱者を切り捨てるために浮上したのではない。弱者の側が、お前らの授業は真っ赤っ赤でアベガーでフェミフェミジェンダーで何の役にも立たないと言っているのだ。現に文系は文系でも英語教育はどんどん強化されている。廃止どころか強化された。
マルクス主義を水で薄めたようなフェミフェミジェンダーな屁理屈で大企業や保守政権を批判して、安全圏から若者を煽ってるだけではないか。まさに「何の役にも立たない」「体育会で4年間頑張ったほうが就職も良い」に対する利用者からの批判が根底にあるのだ。
反対してるのは「ネトウヨ」ではない
もっとも大学もそこそも国民の声を聞いて、アベガーを引っ込めていると思う。
しかし「あの」学術会議が特殊法人化した際の「東大教員は学術会議の法人化をどう見ているか ②法学政治学・人文社会系・経済学・教育学研究科」を読んでいて暗い気持ちになった。「政府にとって、必要な=「耳に心地の良い」学術的助言は…」「そもそも、政府や与党政治家は、学術アカデミーの存在意義を理解していない。」「不法な任命拒否に始まる政府による一連の介入は日本における学術研究を大幅に損なう…」「医学が軍事と結びついたことはナチスや日本のように非常に頻繁に起きてきました…」

彼らにとって、サイレントマジョリティーの「大学の授業は何の役にも立たない」論は、愚かなネトウヨが自民党や御用マスコミの戯言に自動変換されてしまうのだろうか。
くどいようだが、誰も英語教育の強化や(労働価値説ではない)経済経営やロースクールみたいな文系科目は、国家権力は国民の後押しの下、反対どころか推進しているのだ。
確かにトランプは反知性の「世界の電波塔」だが
何せ世界一の電波塔ドナルド・トランプさん。彼こそが世界の陰謀論者の英雄。マトモな人間ではない。ありもしない不正選挙を主張して大量の死者を出している。
最初に述べたように、ちゃーんと理系でも頭脳流出が起きているのだ。
トランプ氏が招いた米国の頭脳流出、世界は獲得に躍起/CNN 2025.06.02
https://www.cnn.co.jp/usa/35233726.html

しかし、このニュースだって、ちゃんとした理系の知識は世界のどこでも通用することを証明したに過ぎない。一方、フェミフェミジェンダーでLGBTな文系学問は、世界のどこに行っても批判に晒される。トランプは反知性主義だとしても、カマラに変わったところで「第二・第三のリアトーマス」は世界レベルで批判され続けるのだ。
またしても「最悪の対応」をしてしまったのではないのか。「ほーらほらほら、理系だって弾圧されてるではないか」。そうやって、自分たちが政府ではなく一般市民から批判に晒されてることから目をつぶろうとする。世界の電波塔・トランプが全ての学問を否定しているキャンペーンは、連中にとって心地よいだろう。



コメント
反知性っていうのは、もともと学者とかの権威ではなく一般の人の感覚を信じようという考えた方なので、トランプさんはそれに当てはまりますね。日本だと左派が右派の人(例えば安倍晋三さんとか)に対してつけるレッテル貼りになってしまっていますが。
コメントありがとうございます。
テレビの解説で、そのような説明を聞きました。反知性主義は良し悪し、良しの部分もあると。
ただ、レーガンさんとか反共・反左翼と結びつきやすいので、概して左翼は嫌ってしまうのでしょう。
研究者コミュニティの今回の学術会議法人化に対する見方は、イスラエル・イラン戦争に対する見方に似てるんじゃないかと思います。
政府がイスラエル、イランが学術会議といったところでしょうか。イスラエルのやり方を手放しで支持できるわけではありませんが、イランの肩を持ちたいかと言われると絶対にそんなことはない。そんなところだと思います。
ところで、「アメリカの反知性主義」という、アメリカの政治史家リチャード・ホフスタッターの手による名著がありますが、あの本は「反知性主義」を一方的に非難するものではなく、むしろ知識人層に対する戒めのような捉え方をしたものだったはずです。それを内田某の「日本の反知性主義」なる本では全くの罵倒のための用語として使っていたので、全く学問的に誠実じゃないなと当時思いました。
「アメリカの反知性主義」という本を読んでないので何とも言えませんですが、どうも「良し悪し」みたいな思想のようですね。
イスラエルは確かにそんな感じだと思います。イスラエル批判=反ユダヤみたいな厄介な話も絡んでいて、確かに両方とも褒めたくない感覚です。