※今日の日記は、将棋の知識(それも少々古い知識)がないと、面白くも何ともありません。
鎌田美礼も「飛車落ち囲い」
鎌田美礼プロの対局を「まとめサイト」を見ていた(鎌田美礼女流2級ー木村朱里女流初段 観客大興奮の好局!ニューヒロイン誕生? 第18回白瀧あゆみ杯決勝 主催:日本将棋連盟 後援:白瀧呉服店)。5筋突きへな急?と呼ぶのだろうか、仕掛けてから美礼ちゃんが△4二金直と上がった(図1)。

昭和~平成中期からワープしたオッサンは「女流棋士ってやっぱり弱いな」と勘違いするかもしれない。
今は、女流棋士2級でも奨励会を吹っ飛ばす。いや、そういうことでなくて、この局面で銀ではなくて金を上がると、私の小さい頃から大きい頃まで、「銀が普通」と言われてきたのだ。
「飛車落ち囲い」とでも呼ぶのか、駒落ちでしかお目にかかれないこいつも、令和では「金無双」扱いされるのだ。
プロ棋士の研鑽の結果、ではなくAIの進歩の結果、飛香落ちや飛車落ちでしかお目にかかれない囲いの方が優秀であることが発見された。
しかし、それじゃあ、羽生善治世代までは普通に指していた▲5七銀左戦法は、いったい何だったのか。将棋を勉強する際に、対四間飛車で最初に本格的に取り組む定跡は、山田定跡と決まっていたものだった。もっともアマだと、振り飛車側は△4三銀と上がって拒否するケースが多い。
山田定跡は正しいのか

AIがプロと互角以上になった時点で、「あの局面(図2)」でAIが▲3五歩と指さないことは知っていた。昔の名前を忘れた最強ソフトは▲3七銀だった。
実は私も、この定跡の▲4八銀が働いてないことがおかしいので、優秀な定跡に思えなかった。しかも、定跡通りに進んでも、居飛車がよくなったように思えない。平成初期だったか、A級順位戦で、谷川浩司の山田定跡に対して米長が定跡そのまま(△5四角とか△2八歩とか)指して、いい勝負だった(谷川勝ち)。
神のごとく長く将棋界に君臨していた「山田定跡」。打倒大山に燃えた執念や悲劇的な夭折(36歳)、更には先見的な「研究会」で突撃名人を生み出したことなど、まさに神の如きカリスマ性だった。
しかし、将棋界に本物の神が降臨してしまった。何せ将棋界の森林限界まで極めた大名人がひれ伏すのだ。しかも、その神様たるや、私のパソコンの中にも鎮座している。真の唯一神・水匠じゃないけど、一時期神の座に君臨したポンタマンという。
AIさんに持ち時間9時間(名人戦と同じ)で検討してもらった
そこで今日は、AIが人間超えを果たすまでは神として君臨した「山田道美不滅の定跡」は正しかったのか、ポンタマンさんにお伺いすることにした。なお、私のPCはCore7の13世代なので、設定などでミスってなければ藤井聡太よりは強いと思う。

持ち時間は9時間。名人戦と同じにした。初期画面は図2を採用。WIKIの山田定跡のページは1筋の端歩は付き合ってないのでこれを採用する。しかし、前述のようにAIは図2で▲3五歩と仕掛けないので、▲3五歩△同歩▲4六銀(図3)からスタートする。なお、勝敗を決める目的ではないので、中盤でストップしている。
さて、持ち時間9時間の中、8分15秒も長考して指した手は?

△4五歩(図4)
え゛?
△3六歩じゃないの?
俺、人生の貴重な時間をかけて教わってきたこと、いったい何だったの?
▲3五歩△同歩▲4六銀に△3六歩がそもそも間違い?

▲3五歩△同歩▲4六銀△3六歩。
ピンク・レディーが寝言でもペッパー警部を歌えるように、アマ初段になれば知っている「4手一組」。いや、プロのあらゆる教科書でもアマ強豪(将棋ジャーナルとか)でも、▲3五歩△同歩▲4六銀△3六歩。いわば△3六歩は振り飛車側から提示された難題。確か大山康晴が対山田道美戦で、少し違う局面で指している。
しかし、AIは△4五歩。△3六歩は候補にも上がってないようだ(違ってたらごめん)

しかも、その後も△4五歩の優秀性を見せてくれる。
△4五歩の後、▲3三角成△同銀▲3五銀△4四銀▲同銀△同飛(図5)。この△4四銀ができるのが△4五歩のメリット。定跡通りだと、▲8八角と打たれてしまうのを避けたのか。
さて、図5での次の一手、どう指します?
答えはこちらをクリック!
としたいけれど、面倒なので書いちゃいます。
▲3五歩(図6)

渋い!
▲8八角だと3四飛で後手を引くので、事前に受けたのだ。

以下、△4六歩▲8八角で、後手は飛車を諦め△3三角。
更に40手くらい進めて、最終図でストップした。
評価値上の形勢はほぼ互角である。
ちなみに△3六歩はやや先手有利

ちなみに△3六歩もやってみた(図8)。条件は同じく先後とも9時間です。
以下▲3五銀△4五歩▲3三角成△同銀▲7七角△5四角▲2六飛
と、AI以前の将棋ファンが信じ込んだ手順が続く(7七じゃなくて8八だった気が)。
そして、確か後手は△1二香だった気がするのですが、
△4三金!(図9)
凄い。大山名人でないと、こんな手はさせない。


以下、定跡から完全に離れるので省略。
ここで中断させた。こちらの評価値は「先手良し」。
以上、ポンタマンさんに各4時間以上、両方合わせて8時間以上検討してもらったのだから、相当に根拠があることだろう。個人的には、△4三金ではなく△1二香も気になる。
AIが語る「山田定跡の真実」
AIの結論としては、
①△3六歩は定跡通り指して、先手が微妙に良いようだ。ただ、△4三金ではなく「定跡通り」はやってない。
②しかし、先手有利と思われた△4五歩が正解で、▲3五歩の妙防があっても形勢は互角。
少なくとも、△4五歩は疑問手にあらず。従来定跡の△3六歩よりも良い結果がでるようだ。
さて、面白かったでしょうか。好評でしたら、三間飛車の山田定跡、「5筋突きへなきゅう」もやってみたい。あっちも怪しいぞ。特に△7二銀に対して▲3三角。めっちゃ怪しくないか? ▲4七歩とかないのかな?



コメント
57銀左は当時は画期的な発想だったのかもしれませんが、イデオロギーは実験による工学には敵わないということですかね。
なるほど、そういうことか。
左美濃やイビアナが出てきた頃は、急戦が理想主義で素晴らしく、玉を固めるのが現実主義でけしからんなんて雰囲気もあったような気がするけれど。
真の科学・真の神が採用しないんじゃ、結果として山田定跡は山田道美主義者のイデオロギーでしたね。